私たちは「人らしく」あるためにAIを使いたい
「はじめに」
「AIかぁ、あんまり身近な存在には感じないかな。」
そんな風に話してくれたスズさん(仮名)は21歳の女子大学生です。スズさんは3人姉弟であり、休日もタフにたくさんの友達と様々な経験をする活発で明るい性格です。そんな性格あってか、会話ができるAI(OKgoogleやSiri、ペッパー君など)については使用したことがあまりなく、AIやロボットを身近に感じていないとおっしゃっていました。今回はそんなスズさんと一緒に、未来のAIについて真剣に考えてみました。
「AIと人の役割」
スズさんが欲しいと思うAIは、健康のためにセンサーやチップを埋め込むもの、自分に合った進路や大学、企業などの提案をしてくれるもの。また、「完全自動運転とかドローンの配達はあったらすごく良いと思う!人間の拘束時間を減らせるから。」とすごく肯定的でした。一方で、コミュニケーションを補助してくれるものや、教師や看護師の代わりを務めるAIなどは欲しくないと回答してくれました。なぜこのように欲しいものと欲しくないものを区別したのか聞いたところ、「あくまでもAIには情報提供や分析の部分をやってほしいんだよね。最終的な判断とか、そこからどう行動するのかは自分で決めていきたい。」という考えが根幹にあることを話してくれました。
「接客とAI」
飲食店でのアルバイトの経験が豊富なスズさん。接客業をAIが行う事についてどう思うかを話してくれました。スズさんは接客のアルバイトを2つ経験していて、以前はイタリアンレストランで、今はスターバックスで働いています。彼女へのインタビューの中で1番印象的だったのが、こんな意見でした。「イタリアンレストランは、全部の行動にマニュアルがあるの。だから正直誰でもできると思うし、AIがやってもいいと思ってた。でも、スタバで働き初めて考え方が変わって、スタバには自分で考え行動することでこそお客様に素敵な時間を提供できるっていう企業理念があるのね。だからマニュアルが全くなくて、自分で考えてお客さんに接してるからやりがいを感じるし、そういう意味では人の居心地の良さは人にしか作れないんじゃないかなって思う。」接客ロボットなどの新しい技術が進歩していく一方で、人による接客への需要は残り続けていくのかもしれません。
「どんなAIが欲しい?」
スズさんに、欲しいAIを絵に書いてもらいました。
形はいたってシンプル。あえてこの形にした理由を聞くと、「あえてロボット感を出して人と区別したい。人間味があるロボットは正直気味が悪くてあまり見たくない…」という素直な意見を言ってくれました。
「人が人でいられる社会」
最後に。スズさんに、2050年がどんな社会になっていたら良いか聞いてみました。
一言でいうと、「人が人でいられる社会」。「どんなにAIや機械が発達しても、人同士が関わることでこそ生まれる化学反応を大切にしていきたい」と話してくれました。彼女とのインタビューを通して、AIが人間の可能性や創造力を奪うものではなく、広げるものであり続けて欲しいと感じました。そしてそのようなAIを、私たちが「人らしく」あり続けるために使っていきたいと考えます。