圧倒的効率重視のキャリア女子が描く2050年のAI社会
今回取材したのは、大学を休学しクロアチアで大使館勤務をしているゆうさん(21)。芯が強く歯に衣着せぬ発言でみんなの姉御的存在のゆうさんはいわゆる「サバサバ系女子」。外交官という夢に向かってひたむきに走り続けるゆうさんが思い描く2050年のAI社会とは-
「AIに求めるもの」
「Siriは使えるなら使いたいけど、使っても反応してくれない」AIはおろかSiriすらも使いこなせないと言います。昔から機械には疎いというゆうさんがAIに求めることは“効率化“の一点でした。実際に大使館勤務で毎日書類業務をこなすようになり、人間の手で行う正確性の限界を実感したそうです。「完全に仕事をしてから思うことなんだけど、やっぱり手作業だと仕事って確実じゃないことが多くて。確実じゃないから何が必要かってなると人の手が必要じゃん。その分、ダブルチェック、トリプルチェックが必要になると、それがやっぱり(時間もかかるし)大変だよね。」人間では抜け漏れを完全に防げないということから、正確でかつ仕事が早いAIを期待すると答えてくれました。これは、2050年のAI社会の理想を聞いた際にも即答でした。
「AIは人間の道具」
一方で、AIによって人の仕事が増えるのであれば意味がないとも話していました。例に挙げてくれたのは、自動で掃除をしてくれるというお掃除ロボット『ルンバ』。自分の代わりに掃除をしてくれるなんて便利だと思っていたのですが、ゆうさんは違うみたいです。「結局掃除やってくれるって言っても、ルンバとかは何も(物が床に)ない状態まで(人間が)しなきゃいけないじゃん。」
結局人の手を煩わすのであれば機械に頼るだけ時間の無駄という効率を重視するゆうさんらしい答えに納得してしまいました。AIを同等としてではなくあくまで人間をサポートする道具にすぎないと考えているようでした。また、将来は外交官として外国で働きたいというゆうさんにAIの多言語翻訳機能について聞いてみました。「人が翻訳すると時間の無駄だから、グーグル翻訳みたいに変にならないのであればいいと思う。」効率一本のゆうさんならではの回答でした。さらに、介護をしてくれるロボットについては大賛成でした。祖母の介護を間近で見ていたゆうさんだからこそ、介護士さんの苦労を少しでも楽にしてあげたいと考えるようになったと言います。
「AIは信頼できる?」
取材を進めていくうちに、ゆうさんがAIを求める求めないの基準に“信頼できるかどうか”が深くかかわっていることに気づきました。ルーティーンワークのように答えが一つに決まっていることに関してはAIの技術を信頼している一方で、クリエイティブな側面を持つような答えが1つとは限らないことに関してはAIの判断を信頼していないようでした。さらに、信頼が得られたとしても万が一の責任が人間にあるのであれば信頼できないとはっきり断言してくれました。
「理想のAI」
最後に、欲しいロボットの絵を描いてもらいました。ゆうさんの頭に思い描いていたのは、ロボットが人間と関わっていくうちに人間の心を持つようになったという『ロボット・カミィ』でした。ロボットが人間らしい心を持つようになったら夢があるが、それが現実になるのは到底厳しいだろうという考えの表れではないかと思います。
AIに求めるものは効率と正確性であり、AIはあくまで人間の道具に過ぎない。AIに人間らしい心が備わり、信頼できるようになる未来は夢の世界の話だと諦めているような印象を受けました。AIに対して信頼を得るためにはまずAIについて知ってもらうことが必要不可欠です。ゆうさんのように機械やAIにあまり興味がない人でも興味を持ってもらえるような機会をつくることが、AI社会の実現に向けての第一歩なのではないかと考えます。

理想の2050年のAI社会

理想のロボット「ロボット・カミィ」