AIと人のあいだにあるもの
こんにちは!早稲田大学文化構想学部のハルタです。
Z世代の等身大の声を届けるAIインタビューシリーズをお届けします。
今回は、日常的にAIを活用しながら、自分らしい理想の社会を描いている二人の学生にインタビューしました。同じ「Z世代」でありながらも、AIとの距離感や期待する未来像には大きな違いが見えてきます。ぜひ、自分自身ならどうAIと関わっていくかを想像しながら読んでみてください!
「AIは便利。でも最後は『人』が欲しい」(Aくん)
最初に登場するのは、文学部に通う3年生のAくん。彼は普段からChatGPTやGeminiを使いこなし、授業の課題やアルバイトの企画で活用しています。けれど、話を聞いていくうちに単なる便利ツール以上に、「人と人との関わり」を重視している姿勢が浮かび上がってきました。
「AIって、過去のデータの集合知だと思うんだよね。だから効率はいい。でも、好奇心や欲望から出てくる新しいアイデアは、人間じゃないと生み出せないと思う」
そう語る彼の口調はとても自然で、すでに自分の中でAIの位置づけを整理できている印象を受けました。
医療や介護にAIが入るとしたら?
話題は医療へ。「健康管理とか、AIが食事内容を整理してくれて、病院に行くべきかを提案してくれるなら大歓迎」と前向き。けれど、いざ命に関わる場面になると、「AIに全部任せるのは怖い。誤診されても、謝ってくれる人がいないと納得できない」と語ります。効率よりも安心感を重視するところに、人間らしい温度を大切にする彼らしさが表れていました。
介護についても「羞恥心が伴う身体的ケアはAIやロボットにやってほしい。でも、死に際で会話してくれるのはやっぱり人であってほしい」と線引きをしていました。
夢は『ピアノとキッチンカー』
実は彼、ピアノが大好きで将来の夢は「自分の家に24時間弾ける防音室をつくること」。さらに「サンドイッチのキッチンカーを開いて、『この人から買いたい』と思ってもらえる存在になりたい」とも話してくれました。そこには常に「人と人との出会いや関係性を大切にしたい」という気持ちが根底にあるのだと感じます。
Aくんが描く、2050年の理想の社会
Aくんが描く2050年は、AIがインフラとして当たり前に生活を支え、人間は『生きることを楽しむ』ことに没頭できる社会です。AIは裏方で雑務を片付け、人間は好奇心と関係性を軸に動く。彼にとってAIは、効率化の象徴でありながら、最後には必ず『人の後押し』が必要な存在なのです。

「AIは賢い相棒。でも主役は人間」(Bさん)
続いて話を聞いたのは、政治経済学部に通う2年生のBさん。彼女は海外留学の経験を持ち、今は英語塾でアルバイトをしながら学生団体の活動にも参加しています。Zoomの自動議事録やSlackの要約機能など、AIを実務的に使う姿はとても「現場派」という印象でした。
「AIが議事録をまとめてくれるの、本当に楽。健康管理でも無料なら使いたいし、効率が上がるなら積極的に取り入れたい」
と語る彼女のスタンスは実に合理的。ただし、その合理性の裏側にはAIに対する冷静な線引きも見えてきました。
医療・介護の場面では?
「医療でAIを使うなら、ミスがないって保証されないと怖い。技術的に完全なら受け入れられるけど、最後の判断は人に残したい」とBさん。AIを過信せず、あくまで人間の補助にとどめたいという姿勢が伝わってきます。介護についても「人手不足解消や恥じらいの軽減には有効。でも、レクリエーションや心の交流は人じゃないと意味がない」と整理していました。
『AIを使うこと』はスキルになる
教育について語るときは、「AIを使いこなすこと自体がスキルになる」と断言。
それでも、小学校低学年では「まず自分で考える力を育ててから」。
AIは小学校高学年から段階的に導入するのがいいと考えていました。合理性と教育的バランスを両立する視点は、とても印象的でした。
一方で「AIに悩みを相談して気持ちが整理できるのは助かるけど、相手がAIだと虚しくなる」とも吐露。効率的に使いながらも、やはり人との関わりの価値を見失ってはいないようです。
2050年の理想社会
Bさんの未来像は「古き良き余白が残る社会」。縁側でスイカを食べるような、ゆったりとした時間の質を大切にしながら、AIは『そっと寄り添う脇役』として存在する。AIがなくても生きていけるけれど、あると便利。そんな程よい距離感を大切にしていました。

インタビューを終えて
AくんとBさん。同じZ世代でも、AIへの期待や距離感は対照的でした。
- Aくんは「人間の物語性・温度感」を重視し、AIは裏方インフラに徹するべきだと考える。
- Bさんは「効率と余白の調和」を重視し、AIを使いこなすスキルを持ちながらも、人が主役であることを忘れない。
共通していたのは、AIが生活を支えてくれる未来を望んでいること。そして「最終判断や人間らしい関係性は人に残すべき」という意見でした。
2050年の社会はどうなっているのでしょうか。効率と余白、人とAIの役割分担――。
今回の二人の言葉は、私たちが未来を考えるうえで大切なヒントを与えてくれる気がします。
みなさんは、自分ならAIとどんな関係を築きたいですか?次回もZ世代の生の声をお届けしますので、ぜひお楽しみに!