AIと共存する未来へ:若者たちが想う2050年
今回は、高校2年生のYくんと、大学3年生のIさん、年齢に差のある2人のインタビューから見えてきた、AI社会の未来についてお届けします。2人とも、AIを現実的かつポジティブに捉えており、とても興味深いのでぜひみてください。
理想の社会、その未来を描く
まず、2人が描いてくれた「理想の社会の絵」を見てみましょう。それぞれの個性がはっきりと表れています。

Yくんは、街の風景を描いてくれました。絵では空飛ぶ車ではなく、自動運転が普及した未来を描いてくれました 。多くの人が都市に移り住み、ビルが増える社会を予想しているようです 。彼の絵からは、SF映画のような非現実的な未来ではなく、現在の技術の延長線上にあり、より便利になった都市の姿が見て取れますね。

一方、IさんはAIが日常生活に溶け込む様子を具体的に描いています 。
- 健康状態に合わせて料理を作ってくれるシェフAI 。
- 勉強を教えてくれるAI 。
- 認知症の人と話すことを手伝い、話し相手AI 。
- 健康レベルに合わせたマッサージをしてくれるマッサージAI 。
彼女の描く世界は、AIが人間の生活を多岐にわたってサポートしてくれる、温かくきめ細やかな未来です。
「AI」と「人間」の担う役割
インタビューを進めると、2人のAI観には共通する重要な結論が見えてきました。それは、「AIはあくまで人間をサポートする存在であり、決定権は常に人間にあるべき」という考え方です。
医療分野に関して、両者とも診察や治療は「人間に診てもらった方が安心する」と答えています 。なぜなら、AIではデータにない症例や予期せぬ反応に対応できるか不安だからだそうです 。しかし、排泄や入浴といった身体的な介護は人が担当すべきだと考える一方、移動のサポートやコミュニケーションはAIに任せることに前向きでした 。この違いは、「信頼関係」が関わる部分と、効率を重視できる部分を分けて考えているからだと考えられます。またほかの分野でもそれぞれの考え方に興味深いものが多かったので紹介させてください。
AIの在り方、助っ人・相棒!?
AIがどのように普段使われ、今後使っていきたいかという点に関しては、主に仕事と教育に関する話題で多くの意見が出ていました。
2人とも、単純作業はAIに任せたいとのことでした。
Iさんはカフェのレジや接客、Yくんはデータ処理や分析など、面倒な作業をAIに任せることで、人間は「好きなことだけに集中したい」という意見で一致しました 。これにより、労働環境が改善され、ワークライフバランスがより重視される社会になることを期待しているのだとわかります。そして2人とも既にAIを積極的に教育の場面では活用していたのでそれぞれのメリットデメリットも聞いてみました。
AIのメリットとして、YさんもIさんも「時間的効率」と「自分にはない発想」を得られる点を挙げています 。
しかし、デメリットとして、Iさんは「思考力が鍛えられなくなる」ことや、Yくんは「どこまで使っていいかという線引き」の難しさを指摘していました 。だからこそ、AIを学習に取り入れるのは「高校生から」が良いという意見で一致しました 。自分で判断できる能力が備わってからでないと、AIに依存してしまうリスクがあると考えているためだと考えられます。AIによって助けられる場面は多い反面、私たち人間もその分注意しなければならないことも多いのではないでしょうか。
感動の源泉は「人間」に宿る
それでは、人間のみが担うものという観点で考えてみましょう。Yくんは、インタビューでお笑い芸人やエンタメ業界そして芸術などを挙げて、『「人の心を動かす」仕事はAIにはできないんじゃないかな』と予想してくれました 。そしてIさんにおいても「お笑い芸人とかは人間がこれからもやりそう」という回答もありました。これらは、AIが過去のデータに基づいて動くのに対し、人間は創造性や感情を伴うからだと考えられます。
また、2人とも生成AIによって作られた作品に「すごい」「面白い」といった技術的な驚きは感じるものの、心からの感動は得にくいと感じていました 。なぜなら、Iさんによると、芸術の重要な要素は「オリジナリティと独創性」であり 、「誰が作ったか」という人の背景や想いに惹かれるからだそうです 。つまり、人間が担うものというのは人の心に触れることであり、人間が人間の心に作用できるのだと考えました。
「共存」と「革新」のAI社会
最後の「人にとって幸せなAIロボット社会」に対する2人の回答からは、AIに対するポジティブな期待が強く感じられました。Yくんは「AIがもたらす「革新的」な暮らし」を楽しみ」、Iさんは『AIは「共存」していく存在』である、と答えてくれました。
彼らの考えは「AIとの共存によって誕生する革新的社会」という言葉で纏めることができるでしょう。
それは、AIを無闇に恐れるのではなく、その利便性を最大限に活用し、今までの価値観や生活を刷新しつつも、人間が「人間らしさ」を大切にする社会です。
AIを当たり前のものと認識し、その利便性を享受するとともに、人間は創造性やコミュニケーション、感情といった、AIには代替できない領域でこそ輝く。そのような未来を、彼らは理想像として描き、また望んでいるのだと考えました。
みなさんにとっての「幸せなAIロボット社会」とは、どんなものでしょうか?ぜひ、この機会に考えてみてください!