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シリーズ!AI×Z世代 #34

AIと共存する未来へ

エンタメ業界に勤務する社会人3年目のまつりさんと、国立大学の理系学部で、アメフト部に所属している大学1年生のPさん。社会人と大学生、文系と理系といった全く異なるバックグラウンドをもつ二人に、2050年のAI社会についてインタビューを行いました。今回は、インタビューを通して明らかになったふたりのAIに対する価値観や活用の仕方について紹介します。

「AI、人間と「感情」」

迷ったご飯のメニューや着ていく服から敬語の添削、占いなど、多岐にわたる内容の相談を日常的にAIにしているまつりさん。なんとインタビュー中にも回答に迷った時にはAIに助けを求めていました!特に、まつりさんは人間関係においての相談相手として重宝しているようです。「感情の入りすぎてない意見をくれるから、冷静に自分も捉えられ話す」人間関係で人一倍悩むことが多い繊細なまつりさんにとって、誰かに相談したいけど相手の心理的な負担を考えるとできない、と今までは感じていましたが、今は日頃の小さなもやもやを打ち明けていると語ってくれました。「感情を持たないAI」を「話しづらい」と感じる人もいますが、あえてその特徴を「話しやすさ」と捉え活用するまつりさんのAIとの関わり方は興味深かったです!

そして、エンタメ業界に勤めているまつりさんが芸術でのAIの活用にどのような考えを持っているのかは、インタビューにあたって最も気になる部分でした。まつりさんは、企画案を考える際にきっかけをもらう役割としてAIを使用しているそうです!アイデアを0から1にするためにAIからいくつか案をもらい、そこから自分の手で案を固める使い方をしていると語っていました。
芸術分野にAIが関わることについては、人間の感情が欠かせないと考えていることが分かりました。「結局その作った人の思いに惹かれてる気がする。毎回その人と考え一緒だなとか、こういう考えもあるんだみたいな人の思いに全部惹かれて私は作品好きになってる系だから、それがAIになっちゃったらあんま惹かれないかも」人の感動をよぶ芸術を作り出すことにおいて、人間の感情の大切さを強く感じているように受け取りました。

今日生活のさまざまなシーンでAIを利用しているまつりさんは「今くらいの関係性がちょうどいい」と話していました。「人間の役割もありつつ、なんかこう、一緒に生きていけたらいいと思う」人間らしさがありつつ、AIがさらなる豊かさをもたらしてくれる。まつりさんが思い描く「共存」の2050年のAI社会からはとても前向きな姿勢が感じられました。

「人間の生きやすさのためのAI」

「人間のやりたくないことを全部ロボットが肩代わりしてほしい」と話していたPさんのインタビューからは、AIに対して既に大きな信頼をおいている考え方が見受けられました。部活動に参加する大学生という日常の中で情報の整理、和訳の添削や質問、情報収集、食生活のアドバイスのためにAIを利用し、その便利さを実感しているようです。「人間と同等」ではなく「人間を助けるツール」としてAIを捉えているPさんは、インタビューを通して、一貫して「めんどくさいことを効率化できる単純作業はAIがやってほしい」という明確な役割を期待している回答が印象的でした。

一方で、そんなPさんが人間にのみできることとして、感情が伴う人間同士のコミュニケーションや人間の複雑な感性による芸術においては「AIだと嫌」と回答していました。Pさんが所属するアメフト部では、AIを搭載したアプリを用いてカロリーや栄養を管理しているそうです。そのアプリ内でのAIからのアドバイスよりも、不定期に先輩からもらうアドバイスの方が「人間関係をある程度は大事にしたい」という気持ちから受け入れやすいと話していました。明確なデータに基づいたAIのアドバイス以上の説得力が人間の言葉にはあるように感じました。

また、音楽を聞くことが好きなPさんにとって、芸術分野も人間が主体であってほしいと話していました。クリエイティブで常に「新しい」ものが求められる芸術と、人間から学習し「過去」のものに基づいたアイデアを生むAIには、代替できない大きな違いがあると感じているそうです。

2050年の理想の社会を「労働からの解放」と回答したPさん。AIが雑務や単純作業の効率化を行い、人間は人間らしい活動を行う社会。人間が豊かにのびのびと生きられるための補佐のような役割と、Pさんの中にある決められた明確な境界が見受けられました。

「2050年のAI社会」

どちらのインフォーマントも既に今日の社会に浸透しているAIを受け入れており、2050年の社会でも友好的な関係を理想に思い描いていることが今回二人へのインタビューを通してわかりました!人間とAIの違いを理解した上で、AIにどんなことができるのか、何を任せるのか、任せないのかを考えていく必要がありそうですね。

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