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シリーズ!AI×Z世代 #3

ハイブリッドで社会を変える…?

「古着屋に行くのは、服を買いに行くためだけじゃない。」

自身でライブイベントの運営も行っている、サブカルチャーに詳しいノリくん(仮名)のそのコメントがインタビューの中で印象に残りました。

『将来AIに代わられるもの・代わられないもの』という話題は、AIを語る上で必須でしょう。どこまでが許容できるかという感覚は、一人一人の環境やこれまでの人生によって大きく異なっていて大変興味深いものになっています。今回インタビューをしたノリくんはいわゆるサブカル男子で、同じコミュニティの仲間とのコミュニケーションを日頃最も大事にしていると言います。そんな彼は今回、コミュニケーションの観点をメインにAIについて考えを話してくれました。

 

2種類の”接客”

彼はスーパーのレジバイトをしていて、私は以前から「バイトがつまらない、辞めたい」という話を聞いていました。そこでAIに関して話を聞くにあたり、接客業こそAIが代わったら楽なのではと話を振りました。それに対する彼の返答が、冒頭の言葉です。続けて彼はこのように言います。

「古着屋だと服買いに行くっていうのとお店の人と話すっていう目的があるから…。スーパーのレジとか、客が感情的になりやすい場所はAIでもいいんじゃないかと思う。」

 彼が言うには、接客業は2パターンに分けられるということでした。一つがコミュニケーションを重視する接客、もう一つがシンプルな作業としての接客。古着屋は前者、スーパーのレジは後者に当たると言えるでしょう。この①コミュニケーションを求める接客②作業としての接客の二種類で、AIのニーズが大きく変わるのではないかと私は考えます。実際コンビニエンスストアの店員はAIでも良いと思うし、スターバックスの店員がAIだったら寂しいと思ってしまうのが個人的な所感です。

仕事は効率かコミュニケーションか

 上司部下がAIになることについてどう思うかという話題に関して、ノリくんは少し難しそうな顔をして考え込んでからこう話してくれました。

「既にもう会社の業務の一部がAIになってるから…。でも対人コミュニケーションみたいのが重視される関係性ではあんまり意味を成さないと思うな。」

この言葉から考えるに、上司や部下という仕事での関係に何を求めるかによってAIの代替への考え方が変わるのではないかと考えます。言葉の前半部分は、上司や部下を『仕事上の効率性』を重視しており、後半部分は『コミュニケーションの上で成り立つ関係』を重視していると言えます。先ほどの言葉に彼は、良くも悪くも人と違うところがいいと思ってる、と付け加えてくれました。つまりは業務の効率化を図る上でのAIの導入とともに、仕事上のコミュニケーションを重視する上で全てをAI化するのではないハイブリッドがベストである、というのがノリくんの考えでした。

欲しいロボット

ノリくんは、自分の生活の全てをサポートしてくれるミニマムなサイズのAIが欲しいと言っていました。AIは自分の秘書のようにいてほしいという彼の願望と、日常を効率化したいということで最小限のサイズになったウェアラブル型のAIを描いてくれました。

理想の社会

ノリくんが描いてくれた理想の社会で一番特徴的なのは、絵の中の大きい公園が示すように、社会が完全に近代化された無機質なものになっていないという点です。その上で技術的に人間の生活をサポートできるものは、例えばこの絵の中では自動運転だったり電線の廃止だったりという形で効率化されているのが読み取れます。

人間のサポーターとして

「AIとかロボットが人間より上に来る事はあってはならないと思う。」

人にとってのAI・ロボットの位置付けを聞いた際、彼はこう答えてくれました。あくまで人の生活を円滑に回すためのサポートをする、という立場でいてほしいとのことです。先ほど挙げた欲しいAIや理想の社会の絵を改めて見てみると、AIはサポートでいてほしいというノリくんの考えがまさに現れていると感じました。

そんな彼の夢は『コンテンツディレクター』だそうです。内容に縛りはなく、人の役に立つコンテンツの制作や大きな文化の流れを作ることがしたいということでした。クリエイティブな能力が求められる職業について、ノリくんはこう話してくれました。

「AIでもできると思うけど人にしか作り出せないものもあるんじゃないかと思う。」

AIはあくまで人のサポートとして、AIが中心で人間がそのサポートという立ち位置にならないような、人とAIの共生ができる将来を模索していく必要がありそうです。

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